✦ 一枚の繪としての思想

私は「撮る」ことを目的にしていません。
私が向き合っているのは、最終的に“ひとつの作品として仕上げる”という行為です。

「一枚の繪」とは、デジタルデータで完結しない、極めてアナログでありながら本質的なアプローチです。
用紙を選ぶという行為は、作品の質感・空気感・温度を決定づける重要な工程であり、
印刷設定を突き詰めることは、光と影のニュアンスを紙の上に再構築するための職人的プロセスです。

さらに、額とマットを用いることにこだわるのは、
作品としての存在感を確立し、飾られる空間との対話を生むためです。

この三つ──用紙・印刷・額装──が揃って初めて、
写真は「記録」から離れ、ひとつの「アート」へと昇華すると私は考えています。


✦ 日常を光が彩る

私が求めているのは「特別な場所」ではありません。
必要なのは「特別な視点」です。

珍しい被写体を追いかけるのではなく、
光によって変わる日常の表情にこそ、写真表現の本質が宿ると信じています。

何気ない風景に潜む“気配”を見つけ、
光が触れた瞬間にだけ現れる“表情”を捉える。
その一瞬を紙と額装によって永続的な作品へと変えること。

それこそが、私自身の世界観であり、
作品づくりにおいて最も大切にしていることです。